澄み切った青空、果てしなく緑の山並が続くブラジルの大自然の中で、隣国ウルグアイの大海原のような大草原の中で、1個が25トンもある御影石の原石を時には数百個も石切り場で厳 しい品質検査をした上で買取り、それらを日本、中国、米国等に輸出する商杜を立ち上げてから25年、南米では唯一の石材輸出業者として毎日内容の濃い仕事にチャレンジしています。
こうして輸出された原石は日本、中国で加工され高層ビルなどの外壁や内装に使用されています。日本でも私が取り扱った石を使用した建造物も多く、みなとみらいランドマークタワー(横浜)、国際フォーラム(有楽町)、NHK(大阪)などのビルがあります。
新しい石を求めて、アルゼンチンのパタゴニア地域、ボリビアのアンデス山脈の麓、アマゾンの密林等を歩く時に、西高時代の夢が今実現していることの幸福感に充たされます。
また或る時には幸運の女神に微笑まれ、光学レンズメーカーが喉から手が出るほど必要としている希少金属がアマゾン上流にある錫鉱石の廃鉱山でその使用途がわからないまま、放置されていることを発見。 早速現地に飛び調査の結果、それが世界でも稀に見る高品質の鉱石、しかも水はけが良いので、滑走路、道路やサッカー場に使用されていたものを、日本の一流金属メーカーと契約、数年間に亘り、それを掘り返し、水で洗うだけで輸出。この話を聞いた日本の大手商社数社が駆けつけた時には後の祭り。アマゾンの大空の下でひっくり返って笑いこけたような出来事も南米ならではの 話です。
日本向けの墓石用黒御影石を探して、アマゾンを横切り世界で一番高いエンジェルフォール(注・滝)のあるベネズエラのギアナ高原を横切りカリブ海まで数千キロを4駆で走り抜けるなど、仕事と夢を追いながらどんなに危険と思われる場所にでも入って行けるのも西高柔道部、その後、講道館で鍛えた頑張り精神のお陰でしよう。
南米にはまだまだ青春の夢を追って毎日新しい何かにチャレンジしながら生きることが可能な機会が数多くあります。
南米諸国では日本人は約束は守る、真面目だと言うことで非常に高い評価を受けています。日本人なら信用しようと言う人たちが非常に多いことも忘れてはなりません。また底抜けに明るく、楽天的で、人の良いのもラテンアメリカ人の特徴です。メキシコからアルゼンチンまで、ブラジルも含め全部スペイン語で通じます。スペイン語はローマ字が読めれば読むことが出来るので、日本人にとっては一番マスターし易い言語です。スペイン語を習得したら間違いなく、次はアンデスの峰に立って目の前に広がる南米の大草原に向け思い切り放尿するのが夢になる筈です。
佐々木正夫さんのプロフィール
上智大学スペイン語学科を卒業後、数年間東京の食品専門商社に勤務しましたが、安月給で苦しかったこと、南米行きの夢を棄てられなかったことから、1963年ブラジルに移住、現在に至っています。漫画家の水野良太郎君、野球の太田誠君とは西高で3年問ずっと同じクラスでした。一番お世話になったのは河合先生。一番苦手だったのは化学、物理の村石先生でした。
2008.08.07