昨年三月、二度目の脳梗塞の発作で私の足は殆ど歩けない状態になってしまいました。
昨秋、文部科学省より、東京での叙勲伝達式と皇居における拝謁の御沙汰があり、大変光栄に存じましたが私の身体上自由の故、その伝達式に出席できなったこと、況して皇居において拝謁の栄を逸してしまったことは、真に残念でなりません。しかし私一人の授与式を鹿児島大学の御好意により、十二月末に学内で挙行して下さいました。学長先生始め、理事、教授、その他の先生方の出席の下、無事に「勲章《と「同勲記《を受領し、感激も又、一人でございました。
現役時代、東西ドイツ分裂の時期に、在外研究員としてヨーロッパ留学を許されたことは、ドイツ文学研究者として得難い体験でありました、当時、東西ドイツの接点であったゲッティンゲンは、私の研究テーマである「低地ドイツ語《の最適の研究場所でありました。今も、そこの住民と文通を続けています。
愚直に四十年勤められたのも、皆様の温かい励ましがあってのことと思っております。今後は、私の健康の許す限り努力してゆく所存でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
高校2回卒 石川 勝
‘11.03.08 編集委員会