浜松市在住の児童文学作家、那須田稔(なすだ・みのる)さんが十一日、胆のうがんのため死去した。九十二歳。日本児童文学者協会賞など各種の受賞歴があり、「忍者サノスケじいさん」シリーズで知られる。通夜は家族のみで行った。
浜松市で生まれ、幼少期を旧満州で過ごした。引き揚げ後、浜松西高で詩作を始めた。東洋大、愛知大で学ぶ。家業の建設業に従事し、その後東京の民放局で番組制作に携わった。一九六五年の「シラカバと少女」で日本児童文学者協会賞、サンケイ児童出版文化賞。六七年に「おとぎばなし」シリーズで毎日出版文化賞。八八年から「忍者サノスケじいさん」シリーズを書き続けた。 七八年に浜松市でひくまの出版を創業。妻敏子さんは同社元社長。音楽評論家の務さん、児童文学作家の淳さんは息子。児童文学作家の岸川悦子さんは実妹。
2023年7月14日掲載 東京新聞より