奥山和弘 先生平成21年4月19日
於: 西高同窓会館

 鮮やかな新緑の中を、爽やかな風が吹き抜ける西山台に奥山先生をお迎えし、お話を伺いました。先生は当時の面影そのまま、声は低音が響き、渋みを増したようです。先生は卒業アルバムや当時の写真を鞄から取り出して、わかりやすくゆっくりと話を進めてくださいました。大人になってからはなかなか味わうことのできないやさしい空気の中、タイムマシンに乗ったかのように、当時の思い出が次々と甦ってきました。
 「西高は、この自然が最高だなあ」窓越しにみえるまばゆい緑に目をやり、話は始まりました。  浜松西高には昭和60年から7年間、国語科の教員として教鞭をとられました。感動を伝えたいという熱い思いから教師になられたそうですが、特に思い入れの強かった『舞姫』(森鴎外)の授業を行えたのは長い教員生活の中でもたった3回だけだったそうです。あの独特でわかりやすく、情熱溢れる授業を多感な時期に受けられたことに幸せを感じます。

 西高に赴任中の最後の1年間を東大での研究に充てられました。主に『授業進行における教師の意思決定』についての研究をされ、師事した佐藤学教授には大きな影響を受けたそうです。それまでは「教師の有能さとは、限られた授業時間の中でいかに上手く説明できるか、だと思っていた。」しかし、「生徒が自分の導きたい答えとは違った方向に行ってしまったときは、時間を気にして相手を否定し、自分の答えを押し付けるよりも、どうしてそう考えるに至ったのか、その理由を聞いた方が正解に近づくことができるんだよ。これは日常生活にも当てはまるよ。試してごらん。」と。またひとつ、先生から学びました。

 その後、教育委員会に11年間出向され、社会教育・女性教育に携わりました。広く社会にむけてメッセージを送り続ける先生のご活躍ぶりには、本当に感服いたします。
 現在は掛川西高校の副校長として重責を担われていらっしゃいます。これからの先生の益々のご活躍を心からお祈りいたします。
 お忙しい中、たくさんの貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。また、楽しいお話を聞かせてください!

( 下飯恭子、水嶋明子インタビュアー)

09.06.10